I don't know that I don't know
目的を知らない。
居場所を知らない。
季節を知らない。
行き先を知らない。
名前を知らない。
やさしさを知らない。
恋を知らない。
愛を知らない。
自分を知らない。
何も知らない。
知らないことを知らない。
もう知らない。
知りたくない。
知ってほしい。
知っている?
小さな声で、「知っている?」
知らなかった、知らないことを。
ほんとのこと、そう、ほんとは知らない。
目的を知らない。
居場所を知らない。
季節を知らない。
行き先を知らない。
名前を知らない。
やさしさを知らない。
恋を知らない。
愛を知らない。
自分を知らない。
何も知らない。
知らないことを知らない。
もう知らない。
知りたくない。
知ってほしい。
知っている?
小さな声で、「知っている?」
知らなかった、知らないことを。
ほんとのこと、そう、ほんとは知らない。
山を越えてゆくところには、
きらきらした海があってほしい。
海を越えてゆくところには、
緑の島があってほしい。
吹雪を越えてゆくところには、
小さな暖炉があってほしい。
雑踏を越えてゆくところには、
静寂のテーブルがあってほしい。
恋を越えてゆくところには、
白い花が飾られていて、
最後の最後にたどり着く場所には、
ただ、あなたがいてほしい。
いつか人は
死について考える
それは 立ち止まること
歌うこと
すがること
守ろうとすること
詩を書くこと
絵を描くこと
写真を撮ること
愛を反芻すること
紛らわす
向かう
次第にそれは割合を増し
だんだんと
この身と溶け合っていく
きみをおもって泣いたよる
きみをおもって泣いたよる
灯りはちかちかまばたきし
時計はかちかち続いてた
きみをおもって泣いたよる
とれたボタンがみつからず
カーペットにはチョコのあと
きみをおもって泣いたよる
電話のベルは黙ったままで
きこえるはずない波の音
きみをおもって泣いたよる
閉じたまぶたに明けてゆき
カーテンごしの曇り空
きみをおもって泣いたよる
きみをおもって泣いたよる
10月の空もまた青いことに
僕は今日気がつきました。
世界がほんの少しだけ震えていることに
僕は今日気がつきました。
フレアスカートの裾から零れたあなたの素足の白さが
何よりも強い決別の標であることに
僕は今日気がつきました。
そうきっと「サヨナラ」は当たり前のような景色の隅に
いつも潜んでいるものなのでしょう。
「サヨナラ」を返してください。
遠くへ行きたいと思う気持ちを押さえることが出来ません。
この夜を越えて 広野を越えて あなたを越えて
「サヨナラ」を返してください。
あなたの左ポケットの奥に引っかかったままの「サヨナラ」を。
その「サヨナラ」なしに 僕はどこへも行くことは出来ないから。
ギザギザ
世界は突然途切れています
ザワザワ
溜まった思いが揺れています
足下に注意して
真っ白な空へと近づくのです
手を伸ばそうとすれば
消えてしまうバランスに身動ぎし
手を伸ばそうとすれば
深い青が震えます
ギザギザとザワザワの間に
僕は辛うじてうずくまり
涙の玉をひとつ手のひらに乗せて
太陽の滲みに翳してみるのです
ギザギザ
ザワザワ
世界が途切れるその場所で
くるくる回る
同じ軌道を くるくる回る
僕の指先のその糸は
物質的には存在しないその糸は
あなたの袖のボタンの
小さな解れに繋がって
そこが中心になって
内側にはいることなく
外側にはずれることなく
ずっと軌道をくるくる回る
いつまでそうしているのかは
回りながらは考えられず
転んでしまうまでは
回っているのでしょう
回っているのでしょう
いずれ轍が出来るのか
いずれ飛んでしまうのか
遠心力
どんな計算ですか
くるくる回って考えています
昨日の晩は、そーめんとかき揚げ
1984年、僕は恋をしていた
今日のお昼は、カレーライス
好きだ、ただそれだけだった
エアコンを新しくしたら、夏はピークを過ぎたようだ
あなたの本当を思いやるほど、僕はたくさんのものを持っていなかった
エアコンの効いた部屋で扇風機
京都の景色は、いつもグレーが混じっていた気がする
エアコンの効いた部屋でチョコレート
きっとあの夏も暑かったはず
エアコンの効いた部屋でストレートティ
チキンカツばかり食べていた
今晩のご飯は何だろう
何も出来なかった
何か出来るほど何かを持っていなかった
何かが何かさえ今も解らないことに変わりはないけれど
エアコンの効いた部屋で思うこの夏
エアコンの効いた部屋で思う あなた
ただ 愛を語るということ
心を溢れだす思いを言葉にするということ
痛みを痛みだとは感じないということ
真裸で丘の上に立つということ
指先を見つめるということ
私を見つめるということ
星を見つめるということ
まったく 創造的ではないこと
何十キロの道を歩くことが出来るということ
花言葉を調べたりすること
乳首がかゆくなったりすること
夜が素敵だと思うこと
ロックグラスを揺らしたりすること
ただ 愛を語るということ
あなたを 思うということ
私は、もっとどうにもならないことについて深く考えてみたいのだ。私が考えたからといって、何ら解決めいたものが出るわけでもなく、これからに役に立つわけでもないような、全くどうにもならないことについて、この短い命を使ってみたいのだ。素敵じゃないか、己の無力さだけに気がついて目を閉じるその時を今から想像しながらわくわくしているのだ。
私の時間のほとんどは、孤独によって構成されている。
連続した孤独が創造の起点となり、わずかな他者との接点でそれは形となる。
孤独こそが世界を形成する唯一の動機となり、それを維持する理由であり続ける。
切断遺体に恐怖を覚え目をそらせるのが、Default。
切断された状態をDefaultであるという認識が何らかの理由で醸成されたなら。
論理が現実を上滑りしている。
切り身の魚や土の着いていない野菜は、Default。
ヌルヌルの魚は触れない。
カプセルの中のパーツ達。
Default。
目論見、文字の列びがいい。
プールに飛び込んだ瞬間の感覚。
整えること、整えること。
何の変哲もないところにある愛を探している。
それが、Default。
私たちは、ミュータントの出現に期待をかけている。
閉塞したこの世界に難なく適応し、それを前へと進めてくれるものを。
ミュータントに自覚はない。
ミュータントは、周囲の驚きに気づくことではじめて実質的な作用をはじめる。
ミュータントのミュータントとしての命は短い。
ミュータントは、いつかミュータントであり続けようと努力をはじめる。
その時すでに彼らの時は終わりはじめる。
・私と貴方(または彼方)の間に時々ふっと浮かぶ空間
・カラー 50mm 60枚
・それは切ない願い(切望)のようであり、祈りのようであり、また絶望のようでもある。
・空気を記録することってできるの?
床に目を移せば、黒い手袋、片方
気になった荒川洋治のエッセイ
隣には茨木のり子詩集を選ぶ人
グレーのパンツ、黒のセーター
「これ違いますか」
「あ、でも私じゃない」
なんとなく
手袋、可愛そうになって
何度も片方なくした僕としては
拾い上げて棚に置こうか
でもそれじゃ
なくした人が見つけられない
横を行き交う人、一人、二人
谷川俊太郎、何か新しいものはないかな
そっと拾い上げて、黒いコートの人
去っていった
黒い手袋、元に戻った